大変ご無沙汰です。
もうすっかり季節が変わってしまって、本当にすみません。
どうもブログが苦手でして・・・。でもこれからは少しずつ、
書いて行きますので。良かったらお付き合い下さい。
さて、8月になりましたらオリジナルのステーショナリー
を販売しようかと思います。まずは、ナナの挿絵のレター
セットを何種類か作りたいと思います。値段と販売方法は
またお知らせ致します。その前に、二科展に今年も挑戦
しようと制作中でして、少し時間を下さいませ。では、
梅雨ですが元気に乗り越えていきましょう!
どうもブログが苦手でして・・・。でもこれからは少しずつ、
書いて行きますので。良かったらお付き合い下さい。
さて、8月になりましたらオリジナルのステーショナリー
を販売しようかと思います。まずは、ナナの挿絵のレター
セットを何種類か作りたいと思います。値段と販売方法は
またお知らせ致します。その前に、二科展に今年も挑戦
しようと制作中でして、少し時間を下さいませ。では、
梅雨ですが元気に乗り越えていきましょう!
絵本はおかげ様で好評です
息子の高校受験で、落ち着かず全くブログを更新していなくてすみませんでした。
また絵を取り込んでいないので、絵のない絵本になってましてごめんなさい。
もう少しお待ちくださいませ。 すみません・・・
また絵を取り込んでいないので、絵のない絵本になってましてごめんなさい。
もう少しお待ちくださいませ。 すみません・・・
『おにいちゃん』 20
Vol.20
もうナナはぼく一人の宝ものではない、世界中の宝ものになって
しまった・・・。鳴りやまない拍手に喜びながらも、ぼくは寂しくて
寂しくてそこに立っていました。
その時、ぼくはぼくの心に言いました。
≪ナナ、ぼくはもう決して君を悲しませない。君が心の瞳で奏でる
音楽を必ず輝かせてあげるからね。だって君の音楽は、全ての
人に幸せを与える力があるんだもの。すごいよね、ナナ!
・・・でもね、ナナ。もう少しだけぼくのそばにいて、そのさくらの
花びらのような暖かい笑顔を見せててほしいな。あと少しの間で
いいからさ・・・。≫
そう思った時でした。ナナが
「ナナはね、これからもず〜っとずっとおにいちゃんといっしょ
だよ!」
と言いました。そのあたたかな笑顔をぼくはいつまでもいつまでも
大切にしたいと思いました。 END
もうナナはぼく一人の宝ものではない、世界中の宝ものになって
しまった・・・。鳴りやまない拍手に喜びながらも、ぼくは寂しくて
寂しくてそこに立っていました。
その時、ぼくはぼくの心に言いました。
≪ナナ、ぼくはもう決して君を悲しませない。君が心の瞳で奏でる
音楽を必ず輝かせてあげるからね。だって君の音楽は、全ての
人に幸せを与える力があるんだもの。すごいよね、ナナ!
・・・でもね、ナナ。もう少しだけぼくのそばにいて、そのさくらの
花びらのような暖かい笑顔を見せててほしいな。あと少しの間で
いいからさ・・・。≫
そう思った時でした。ナナが
「ナナはね、これからもず〜っとずっとおにいちゃんといっしょ
だよ!」
と言いました。そのあたたかな笑顔をぼくはいつまでもいつまでも
大切にしたいと思いました。 END
『おにいちゃん』 19
Vol.19
「おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃん!・・・」
そう言ってぼくの腕にしがみつき、よほど心細かったのでしょ
う。わんわん泣きました。ぼくはそんなナナをしっかり抱きとめ
てあげました。
「よく頑張ったね、ナナ。すごく偉かったよ!最高に素敵
だった!大好きだよナナ。」
そう言うと、ナナはますますしがみつきながら
「おにいちゃん、ありがとう。」
と言いました。ぼくはその小さな肩を抱きながら、もう一度
拍手の止まない舞台につれて行きました。みんな立っていました。
でもぼくは不安でなりませんでした。こんな才能のあるナナは、
すぐにぼくのそばからいなくなってしまうのだろうと・・・。すでに
ナナは世界中から注目され始めていましたから。だからせめて
こうしていられるナナとの時間を大切にしようと思いました。
まだナナは、ぼくにしがみついています。いつもの暖かくて
やさしくて小さな手でぼくの腕をしっかりつかんでいます。
「おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃん!・・・」
そう言ってぼくの腕にしがみつき、よほど心細かったのでしょ
う。わんわん泣きました。ぼくはそんなナナをしっかり抱きとめ
てあげました。
「よく頑張ったね、ナナ。すごく偉かったよ!最高に素敵
だった!大好きだよナナ。」
そう言うと、ナナはますますしがみつきながら
「おにいちゃん、ありがとう。」
と言いました。ぼくはその小さな肩を抱きながら、もう一度
拍手の止まない舞台につれて行きました。みんな立っていました。
でもぼくは不安でなりませんでした。こんな才能のあるナナは、
すぐにぼくのそばからいなくなってしまうのだろうと・・・。すでに
ナナは世界中から注目され始めていましたから。だからせめて
こうしていられるナナとの時間を大切にしようと思いました。
まだナナは、ぼくにしがみついています。いつもの暖かくて
やさしくて小さな手でぼくの腕をしっかりつかんでいます。
『おにいちゃん』 18
Vol.18
でもナナのことをよく知るぼくたちは心配でした。ナナは繊細
な子です。そんな大きな所で大丈夫かと思い、あえてどこで弾く
のかどんな広さかを知らせませんでした。でも勘の良いナナは
とても緊張していました。更にぼくはその日、大事な用事が出来
てしまい、ナナのそばにいてあげることが出来なくなりました。
不安でいっぱいの中、とうとう舞台が上がってしまいました。
でもナナは偉かったのです。すべてを理解して、ぼくがいない
ことも我慢して、その全ての曲を弾き終えたのです。ナナの満身
の出来でした。最後の冬を弾く頃、ようやく舞台のそでに間に
合ったぼくは、堂々と弾き終えたナナを見つめていました。素晴
らしい演奏でした。拍手が鳴りやみません。ナナはただビックリ
して、ぽかんと口を開けて目をまん丸くしていました。
「・・・ナナ・・・!」
涙で声にならない声でぼくがささやくと、聞こえたのでしょう。
その観衆の拍手を振り切り、ぼくが立つそでに飛んできたのです。
でもナナのことをよく知るぼくたちは心配でした。ナナは繊細
な子です。そんな大きな所で大丈夫かと思い、あえてどこで弾く
のかどんな広さかを知らせませんでした。でも勘の良いナナは
とても緊張していました。更にぼくはその日、大事な用事が出来
てしまい、ナナのそばにいてあげることが出来なくなりました。
不安でいっぱいの中、とうとう舞台が上がってしまいました。
でもナナは偉かったのです。すべてを理解して、ぼくがいない
ことも我慢して、その全ての曲を弾き終えたのです。ナナの満身
の出来でした。最後の冬を弾く頃、ようやく舞台のそでに間に
合ったぼくは、堂々と弾き終えたナナを見つめていました。素晴
らしい演奏でした。拍手が鳴りやみません。ナナはただビックリ
して、ぽかんと口を開けて目をまん丸くしていました。
「・・・ナナ・・・!」
涙で声にならない声でぼくがささやくと、聞こえたのでしょう。
その観衆の拍手を振り切り、ぼくが立つそでに飛んできたのです。
『おにいちゃん』 17
Vol.17
その作戦はこうでした。ナナは目が見えませんから、先生が先に
ぼくの家にいて、いつものようにナナにピアノを弾かせるのです。
その日が来ました。いつものようにピアノの前に座ったナナは、
一番新しい冬から春までの曲を弾きました。先生は思わず拍手を
しようとしましたあ、ぼくとおかあさんで必死に目配せをして止め
ました。先生はこの天性の才能のあるこの子何とかしようと考え、
小さなコンサートをしようと持ちかけてくれました。どこでそれを
するかすぐに決まりました。それはおばあさまのお店です。小さい
けれどとてもきれいなその店に、先生がピアノを準備してくれて、
お世話になった方々をお招きし小さなナナの小さなコンサートが
開かれました。素晴らしい音楽と、それを作ったのがこんなに小さ
くて盲目の少女であることに、全員が震えました。おばあさまは
初めて聞くナナのピアノに涙が止まりませんでした。偶然その中に
音楽界でとても有名な先生がいて、このままではならないと、すぐ
にオーケストラを組み大きな舞台を準備したのです。小さなナナは
瞬く間に忙しくなってしまいました。
その作戦はこうでした。ナナは目が見えませんから、先生が先に
ぼくの家にいて、いつものようにナナにピアノを弾かせるのです。
その日が来ました。いつものようにピアノの前に座ったナナは、
一番新しい冬から春までの曲を弾きました。先生は思わず拍手を
しようとしましたあ、ぼくとおかあさんで必死に目配せをして止め
ました。先生はこの天性の才能のあるこの子何とかしようと考え、
小さなコンサートをしようと持ちかけてくれました。どこでそれを
するかすぐに決まりました。それはおばあさまのお店です。小さい
けれどとてもきれいなその店に、先生がピアノを準備してくれて、
お世話になった方々をお招きし小さなナナの小さなコンサートが
開かれました。素晴らしい音楽と、それを作ったのがこんなに小さ
くて盲目の少女であることに、全員が震えました。おばあさまは
初めて聞くナナのピアノに涙が止まりませんでした。偶然その中に
音楽界でとても有名な先生がいて、このままではならないと、すぐ
にオーケストラを組み大きな舞台を準備したのです。小さなナナは
瞬く間に忙しくなってしまいました。
『おにいちゃん』 16
Vol.16
【ふゆのそらは いつもいつもはいいろです
はりがささるような つめたいくうきが
あたりいちめんにいます
そのなかにいると さみしくてぼくたちは
おかあさんのおなかのなかに もどりたくなります
だからそんなふゆは あたたかなおへやで
あたたかいおちゃをのんで おかしをたべましょう
ナナのようなあたたかなはるのひざしをまちながら
ふゆをすごすんです なな あたたかなはるは
かならずくるよ とふゆがささやきました】
ぼくがその詩をナナに伝えられた時、ナナはまた静かな曲を作り
ました。そしてそのピアノを弾き終えたナナの目から、一つの涙が
こぼれていました。ぼくも涙をしながら、必死で書きとめました。
その曲の最後のほうは、まるでナナが初めてぼくに笑顔を見せて
くれた時のような、安らかな旋律でした。
ピアノの先生にそれらすべてを伝えると、ぜひその子の弾くピア
ノを聞いてみたいとおっしゃり、なかなか他の人に心を開かない
ナナに対する作戦をねることになりました。
【ふゆのそらは いつもいつもはいいろです
はりがささるような つめたいくうきが
あたりいちめんにいます
そのなかにいると さみしくてぼくたちは
おかあさんのおなかのなかに もどりたくなります
だからそんなふゆは あたたかなおへやで
あたたかいおちゃをのんで おかしをたべましょう
ナナのようなあたたかなはるのひざしをまちながら
ふゆをすごすんです なな あたたかなはるは
かならずくるよ とふゆがささやきました】
ぼくがその詩をナナに伝えられた時、ナナはまた静かな曲を作り
ました。そしてそのピアノを弾き終えたナナの目から、一つの涙が
こぼれていました。ぼくも涙をしながら、必死で書きとめました。
その曲の最後のほうは、まるでナナが初めてぼくに笑顔を見せて
くれた時のような、安らかな旋律でした。
ピアノの先生にそれらすべてを伝えると、ぜひその子の弾くピア
ノを聞いてみたいとおっしゃり、なかなか他の人に心を開かない
ナナに対する作戦をねることになりました。
『おにいちゃん』 15
Vol.15
ナナはまた素敵な音楽を作りました。それは秋を実にみごとに
表現した、やさしくて少し寂しいナナの心を表しているようでし
た。ぼくは恥ずかしいから、ナナに知られないように涙をふき
ました。
「おにいちゃん?」
すぐにぼくの様子をわかるナナは、心配する時の癖で口を少し
とがらせました。
「だいじょうぶだよ、ナナ。君は本当にやさしいんだね。」
するとナナはいつものようにぼくの腕にしがみつきました。
さて、最後の冬の詩を書かなくてはなりません。冬は寒くて
すぐに風邪をひいてしまうから、ぼくはあまり好きではありませ
ん。だからうまく表現出来なくて、困り果てていました。でも
ナナは、いつもぼくのそばでやさしくほほえんでくれました。
その笑顔は、まるで春の陽ざしのようでした。
「そうか!」
ぼくは解りました。寂しい冬をそのまま詩にしたら、ナナの
心の陽ざしは曇ってしまいます。寒い冷たい冬を伝えたあとに
暖かな春を付け加えよう。必ず暖かな季節が来るということを
ナナに伝えよう。そう思ったぼくは鉛筆をにぎりました。
ナナはまた素敵な音楽を作りました。それは秋を実にみごとに
表現した、やさしくて少し寂しいナナの心を表しているようでし
た。ぼくは恥ずかしいから、ナナに知られないように涙をふき
ました。
「おにいちゃん?」
すぐにぼくの様子をわかるナナは、心配する時の癖で口を少し
とがらせました。
「だいじょうぶだよ、ナナ。君は本当にやさしいんだね。」
するとナナはいつものようにぼくの腕にしがみつきました。
さて、最後の冬の詩を書かなくてはなりません。冬は寒くて
すぐに風邪をひいてしまうから、ぼくはあまり好きではありませ
ん。だからうまく表現出来なくて、困り果てていました。でも
ナナは、いつもぼくのそばでやさしくほほえんでくれました。
その笑顔は、まるで春の陽ざしのようでした。
「そうか!」
ぼくは解りました。寂しい冬をそのまま詩にしたら、ナナの
心の陽ざしは曇ってしまいます。寒い冷たい冬を伝えたあとに
暖かな春を付け加えよう。必ず暖かな季節が来るということを
ナナに伝えよう。そう思ったぼくは鉛筆をにぎりました。
『おにいちゃん』 14
Vol.14
それからゆっくり秋の詩を書くことにしました。秋はなんとも
表現が難しいもので、しばらく時間がかかりました。でもその間も
ぼくはいつものようにナナと遊び、いつものように日々が過ぎて
ゆきました。ナナといると、とてもやさしい気持ちになり、あたた
かな風が吹きました。次第に互いが心で分かり合えるようになって
いき、そしてようやく秋の詩を書くことが出来ました。
【おおきなかみなりがなると かぜがすこしずつ
つめたくなっていきます
そして そのかぜはあきになります
はっぱたちは おけしょうをして
きいろやあかになりながら さいごのだんすをします
しずかなじかんがすぎてゆき
たくさんのおいしいものをのこして
はっぱたちは つちにかえってゆきます
たくさんおたべと はっぱたちはナナにおはなししました】
それからゆっくり秋の詩を書くことにしました。秋はなんとも
表現が難しいもので、しばらく時間がかかりました。でもその間も
ぼくはいつものようにナナと遊び、いつものように日々が過ぎて
ゆきました。ナナといると、とてもやさしい気持ちになり、あたた
かな風が吹きました。次第に互いが心で分かり合えるようになって
いき、そしてようやく秋の詩を書くことが出来ました。
【おおきなかみなりがなると かぜがすこしずつ
つめたくなっていきます
そして そのかぜはあきになります
はっぱたちは おけしょうをして
きいろやあかになりながら さいごのだんすをします
しずかなじかんがすぎてゆき
たくさんのおいしいものをのこして
はっぱたちは つちにかえってゆきます
たくさんおたべと はっぱたちはナナにおはなししました】
『おにいちゃん』 13
Vol.13
「ナナ!今度はね夏の詩を作ってみたよ。聞いてね!」
ぼくが読み終えると、ナナはたくさん拍手をしてくれました。
すると春の詩の時と同じように、ピアノを弾き始めました。
今度は、夏の暑さを表した、元気な曲でした。だからぼくは楽譜に
するのに、指が痛くなるほどでした。でも本当にすごいと思い
ました。こんなに小さなナナがひとりでこんな曲を作ってしまう
のですから!
「ナナ!すごいね〜。ぼくはこの曲も大好きだよ!」
するとナナは、にっこりほほえんで
「ナナもだいすき!おにいちゃんが!」
そう言っていつものように、ぼくの腕にしがみつきました。ぼく
は、しばらくいつものようにナナと遊びました。その夜
「ねえ、おかあさん。ナナはぼくといて楽しいかなあ?」
と聞きました。
「ええ、とても楽しくてうれしいと思うわよ。あなたがうれしい
ならきっとナナもうれしいはずよ、おかあさんはそう思うわ。」
そう言われて、ぼくは安心しました。ナナに無理なことをして
いないか、嫌な思いをさせていないか心配になっていたのです。
「ナナ!今度はね夏の詩を作ってみたよ。聞いてね!」
ぼくが読み終えると、ナナはたくさん拍手をしてくれました。
すると春の詩の時と同じように、ピアノを弾き始めました。
今度は、夏の暑さを表した、元気な曲でした。だからぼくは楽譜に
するのに、指が痛くなるほどでした。でも本当にすごいと思い
ました。こんなに小さなナナがひとりでこんな曲を作ってしまう
のですから!
「ナナ!すごいね〜。ぼくはこの曲も大好きだよ!」
するとナナは、にっこりほほえんで
「ナナもだいすき!おにいちゃんが!」
そう言っていつものように、ぼくの腕にしがみつきました。ぼく
は、しばらくいつものようにナナと遊びました。その夜
「ねえ、おかあさん。ナナはぼくといて楽しいかなあ?」
と聞きました。
「ええ、とても楽しくてうれしいと思うわよ。あなたがうれしい
ならきっとナナもうれしいはずよ、おかあさんはそう思うわ。」
そう言われて、ぼくは安心しました。ナナに無理なことをして
いないか、嫌な思いをさせていないか心配になっていたのです。
『おにいちゃん』 12
Vol.12
翌日、ぼくはピアノの先生にその譜面をよんでもらいました。
そしてその曲を弾こうとしたぼくの手を制して、先生が弾き始め
たのです。思ったよりすごい曲でした。
「すばらしい!なんて暖かくてやさしい音楽だろう。これを
その子が作ったなんて!」
ぼくもそう思いました。そして、先生が提案しました。
「夏や秋、冬の詩も作って聞かせてごらんなさい。きっと素敵な
曲がまた出来上がるだろうから・・・」
その夜、楽しかった夏の思い出を書いてみました。もちろん
ナナに夏を伝えるのが一番の目的の詩でしたがね。
【たくさんたくさん あめがふったあと
あついあつい たいようがてをのばします
むくむくしたくもといっしょに ぼくたちに
おおいかぶさってきました
せみがみじかいじかんを せいいっぱいうたいます
うみはおおきななみで ぼくたちとあそんでくれます
そしてナナに あついね〜とあいさつしました】
ぼくはナナの笑顔を思い出しながら、いつのまにか眠って
いました。翌日学校から帰ると急いでピアノに向かいました。
ナナはいつものように、ナッツと一緒に家に入って来ました。
翌日、ぼくはピアノの先生にその譜面をよんでもらいました。
そしてその曲を弾こうとしたぼくの手を制して、先生が弾き始め
たのです。思ったよりすごい曲でした。
「すばらしい!なんて暖かくてやさしい音楽だろう。これを
その子が作ったなんて!」
ぼくもそう思いました。そして、先生が提案しました。
「夏や秋、冬の詩も作って聞かせてごらんなさい。きっと素敵な
曲がまた出来上がるだろうから・・・」
その夜、楽しかった夏の思い出を書いてみました。もちろん
ナナに夏を伝えるのが一番の目的の詩でしたがね。
【たくさんたくさん あめがふったあと
あついあつい たいようがてをのばします
むくむくしたくもといっしょに ぼくたちに
おおいかぶさってきました
せみがみじかいじかんを せいいっぱいうたいます
うみはおおきななみで ぼくたちとあそんでくれます
そしてナナに あついね〜とあいさつしました】
ぼくはナナの笑顔を思い出しながら、いつのまにか眠って
いました。翌日学校から帰ると急いでピアノに向かいました。
ナナはいつものように、ナッツと一緒に家に入って来ました。
『おにいちゃん』 11
Vol.11
家に帰るとすぐにピアノを弾き始めました。もちろんナナに会い
たかったからです。いつものようにナッツが知らせて、ナナが家に
上がりました。暖かな陽が差し込むピアノの前で、ぼくは静かに
自分の作った詩を読みました。
【はるの あたたかなかぜがふきました
ことりが さえずります
むしたちが むくむくつちのなかからあたまをもちあげます
はなたちが まっていたのとばかりにてをひろげます
いそがしいパパやママたちが しんこきゅうをします
だからはるは いきているものすべてにあいさつするのです
そしてナナにも こんにちはといいました】
ナナは、いつもよりやさしく笑いました。それはさくらの花の
ような笑顔でした。するとナナはゆっくりピアノを弾き始めたの
です。それはやさしくて暖かいおひさまのような旋律でした。
短い曲でしたが、ぼくは偶然と思い、もう一度弾いてみて?と
聞きました。何度も弾けるその旋律は、まぎれもなくナナのオリ
ジナルの曲でした。ぼくに出来ることは、その貴重な曲を楽譜に
落とすことだけでした。だから夢中で書きました。
家に帰るとすぐにピアノを弾き始めました。もちろんナナに会い
たかったからです。いつものようにナッツが知らせて、ナナが家に
上がりました。暖かな陽が差し込むピアノの前で、ぼくは静かに
自分の作った詩を読みました。
【はるの あたたかなかぜがふきました
ことりが さえずります
むしたちが むくむくつちのなかからあたまをもちあげます
はなたちが まっていたのとばかりにてをひろげます
いそがしいパパやママたちが しんこきゅうをします
だからはるは いきているものすべてにあいさつするのです
そしてナナにも こんにちはといいました】
ナナは、いつもよりやさしく笑いました。それはさくらの花の
ような笑顔でした。するとナナはゆっくりピアノを弾き始めたの
です。それはやさしくて暖かいおひさまのような旋律でした。
短い曲でしたが、ぼくは偶然と思い、もう一度弾いてみて?と
聞きました。何度も弾けるその旋律は、まぎれもなくナナのオリ
ジナルの曲でした。ぼくに出来ることは、その貴重な曲を楽譜に
落とすことだけでした。だから夢中で書きました。
『おにいちゃん』 10
Vol.10
お口に合いますかはわかりませんが、ぜひいらして頂きたく存じ
ます。住所は・・・≫
そう書かれた手紙を読み終えるころ、ナナはナッツと寄り添い
ながらじゅうたんに丸まって眠っていました。それはかわいくて
愛おしい二人の寝顔でした。
それからいく日かして、お誘いに甘えお肉を頂きに行きまし
た。味わったことのない美味しさで、心まで満腹になりました。
それは素敵なおばあさまの味でした。ナナもうれしそうにぼくの
となりに座っていました。
4月になりました。ぼくは1学年進級し、新しい気持ちでいっ
ぱいでした。最初の授業で 「今の気持ちを、詩で表してみま
しょう。」 というのがありました。
「・・・う〜ん。」
ぼくは目をつむると、ナナのかわいい笑顔が浮かびました。そう
だ!目の見えないナナに、春を教えてあげよう! ナナもこの頃
では、だいぶ日本語を覚えてきましたから、やさしい言葉なら
解ります。そう思うと、不思議と手が動きはじめました。その詩
は自分でも良く書けたと思いました。
お口に合いますかはわかりませんが、ぜひいらして頂きたく存じ
ます。住所は・・・≫
そう書かれた手紙を読み終えるころ、ナナはナッツと寄り添い
ながらじゅうたんに丸まって眠っていました。それはかわいくて
愛おしい二人の寝顔でした。
それからいく日かして、お誘いに甘えお肉を頂きに行きまし
た。味わったことのない美味しさで、心まで満腹になりました。
それは素敵なおばあさまの味でした。ナナもうれしそうにぼくの
となりに座っていました。
4月になりました。ぼくは1学年進級し、新しい気持ちでいっ
ぱいでした。最初の授業で 「今の気持ちを、詩で表してみま
しょう。」 というのがありました。
「・・・う〜ん。」
ぼくは目をつむると、ナナのかわいい笑顔が浮かびました。そう
だ!目の見えないナナに、春を教えてあげよう! ナナもこの頃
では、だいぶ日本語を覚えてきましたから、やさしい言葉なら
解ります。そう思うと、不思議と手が動きはじめました。その詩
は自分でも良く書けたと思いました。
『おにいちゃん』 9
Vol.9
まだ韓国の食糧事情は貧しかったので、兄妹が食糧を争う中、
「おまえみたいな目が見えないのが食べるものなんてない!」
とナナは迫害を受けていたのです。黙って耐えているナナを
何とかしなくてはと、わずかなお金を持って住み慣れていた
ここ横浜にふたりでようやくたどり着いたのです。あの頃、
若かった方々が私の肉の味を覚えていて、たくさんの援助を
下さり、今の店を構えることが出来たのです。しかし、その
反面私は忙しくなり、ナナはほったらかしでした。たくさん
の迫害を受けたからか、心をかたくなに閉ざし日本語も覚え
ようとはしませんでした。それがある日、私に日本語を教え
てと、しきりにせがむのです。どうした心の変化か、私には
解りませんでした。でももしかしたらお宅様のおかげでは、
ないでしょうか?やさしくしていただいているのだとあの子
を見てて解ります。なんとお礼をしたものでしょう・・・もし
宜しければ私のお肉を一度召しあがって頂けませんか?
まだ韓国の食糧事情は貧しかったので、兄妹が食糧を争う中、
「おまえみたいな目が見えないのが食べるものなんてない!」
とナナは迫害を受けていたのです。黙って耐えているナナを
何とかしなくてはと、わずかなお金を持って住み慣れていた
ここ横浜にふたりでようやくたどり着いたのです。あの頃、
若かった方々が私の肉の味を覚えていて、たくさんの援助を
下さり、今の店を構えることが出来たのです。しかし、その
反面私は忙しくなり、ナナはほったらかしでした。たくさん
の迫害を受けたからか、心をかたくなに閉ざし日本語も覚え
ようとはしませんでした。それがある日、私に日本語を教え
てと、しきりにせがむのです。どうした心の変化か、私には
解りませんでした。でももしかしたらお宅様のおかげでは、
ないでしょうか?やさしくしていただいているのだとあの子
を見てて解ります。なんとお礼をしたものでしょう・・・もし
宜しければ私のお肉を一度召しあがって頂けませんか?
『おにいちゃん』 8
Vol.8
ぼくはおかあさんと一緒にその手紙を読むことにしました。
≪はじめまして。どなたか分からずお手紙することをどうかお許し
ください。孫娘のナナが大変お世話になっているようで、ありが
とうございます。あたたかな靴下や靴をちょうだいして・・・どな
たからい頂いているのか何度聞いても、私に叱られると思い固く
口を閉ざしておりまして、このような手紙を持たせざるを得ま
せんでした。 私の名前は、パクミンと申します。私は戦後ここ
横浜に、今は亡き夫と小さな店をやっていました。食糧が十分に
手に入らない中、若い人に滋養をつけさせようと工夫を重ね、
何とか安い肉でおいしい料理を提供することが出来ました。それ
はとても気に入られいつも盛況でした。しかしある事情から韓国
に戻らなくてはならず、また主人が急に亡くなってしまい4人の
子供をなんとか一人で育て上げたのです。そして家庭を持った
長男の家族と暮らしていたのですが、5人の子供のうち3番目の
子として生まれたナナは、生まれながらの盲目でした。
ぼくはおかあさんと一緒にその手紙を読むことにしました。
≪はじめまして。どなたか分からずお手紙することをどうかお許し
ください。孫娘のナナが大変お世話になっているようで、ありが
とうございます。あたたかな靴下や靴をちょうだいして・・・どな
たからい頂いているのか何度聞いても、私に叱られると思い固く
口を閉ざしておりまして、このような手紙を持たせざるを得ま
せんでした。 私の名前は、パクミンと申します。私は戦後ここ
横浜に、今は亡き夫と小さな店をやっていました。食糧が十分に
手に入らない中、若い人に滋養をつけさせようと工夫を重ね、
何とか安い肉でおいしい料理を提供することが出来ました。それ
はとても気に入られいつも盛況でした。しかしある事情から韓国
に戻らなくてはならず、また主人が急に亡くなってしまい4人の
子供をなんとか一人で育て上げたのです。そして家庭を持った
長男の家族と暮らしていたのですが、5人の子供のうち3番目の
子として生まれたナナは、生まれながらの盲目でした。
『おにいちゃん』 7
Vol.7
「おはいり。」 と言うと 「おにいちゃん。」とうれしそうに
ぼくにしがみつくのです。
ぼくはその子となんとか話をしたくて、やさしい韓国語の本を
借りて一生懸命勉強しました。学校の勉強なんていやいやでした
から、こんなにに夢中で勉強したのは初めてでした。
「・・・オナマエハ?」
「!ナナ。」
と答えてくれました。ぼくは飛び上がるほどうれしくて、何度も
何度もその名をよびました。なんてかわいくて愛おしい名前で
しょう。
ある日、またいつものように玄関先にいたナナは、手に1枚の
手紙をにぎっていました。
「これです。」
そう言って渡された手紙は、ナナのおばあさまからの物でした。
「おはいり。」 と言うと 「おにいちゃん。」とうれしそうに
ぼくにしがみつくのです。
ぼくはその子となんとか話をしたくて、やさしい韓国語の本を
借りて一生懸命勉強しました。学校の勉強なんていやいやでした
から、こんなにに夢中で勉強したのは初めてでした。
「・・・オナマエハ?」
「!ナナ。」
と答えてくれました。ぼくは飛び上がるほどうれしくて、何度も
何度もその名をよびました。なんてかわいくて愛おしい名前で
しょう。
ある日、またいつものように玄関先にいたナナは、手に1枚の
手紙をにぎっていました。
「これです。」
そう言って渡された手紙は、ナナのおばあさまからの物でした。
『おにいちゃん』 6
Vol.6
「ピアノ、ピアノ、ピアノ・・・」
覚えたての言葉をうれしそうに何度もくり返していました。でも
どうしてこの子は弾けたのでしょう?まだこんな小さな子が
弾ける曲ではありませんでした。それに第一この子は目が見えな
いのです。楽譜があっても読むどころか、見ることも出来ない
はずなのです。不思議でなりませんでした。
次の日はちょうどピアノのレッスンの日でした。ぼくの先生は
少しお年を召していましたが、ぼくのお話をきちんと聞いて下さ
るやさしい先生でした。ぼくがその子の話をすると、ぼく以上に
おどろいて、ぜひその子に会ってみたいとおっしゃいました。
ぼくがその子に会いたい時はピアノを弾きました。いつもの
ようにナッツがぼくの足をカリカリしたら、その子は玄関の外に
いました。おかあさんが何度もベルを押すことやドアをたたく
ことを教えても、その子はぼくがドアを開けるまで、いつまでも
だまって待っているのでした。そしてぼくが、
「ピアノ、ピアノ、ピアノ・・・」
覚えたての言葉をうれしそうに何度もくり返していました。でも
どうしてこの子は弾けたのでしょう?まだこんな小さな子が
弾ける曲ではありませんでした。それに第一この子は目が見えな
いのです。楽譜があっても読むどころか、見ることも出来ない
はずなのです。不思議でなりませんでした。
次の日はちょうどピアノのレッスンの日でした。ぼくの先生は
少しお年を召していましたが、ぼくのお話をきちんと聞いて下さ
るやさしい先生でした。ぼくがその子の話をすると、ぼく以上に
おどろいて、ぜひその子に会ってみたいとおっしゃいました。
ぼくがその子に会いたい時はピアノを弾きました。いつもの
ようにナッツがぼくの足をカリカリしたら、その子は玄関の外に
いました。おかあさんが何度もベルを押すことやドアをたたく
ことを教えても、その子はぼくがドアを開けるまで、いつまでも
だまって待っているのでした。そしてぼくが、
『おにいちゃん』 5
Vol.5
照れくさくてぼくは椅子を立ち、その子を座らせました。そして
右の親指でドの音を鳴らさせてあげました。その手はとても小さく
て冷たかったけれど、そっとぼくの手からはなれると、たった今
ぼくが弾いた曲をゆっくり弾き始めたのです。そして一つも違わず
に弾き終えたのです。おどろいたぼくはたくさんの拍手をしました。
「ピアノひけるんだね!」
夢中で聞いたぼくに、首をかしげたその子は
「・・・おにいちゃん・・・」
と小さくつぶやきました。びっくりしました!前に来た時におかあ
さんが言った、たった一言をおぼえていたからです。
「おにいちゃん、おにいちゃん。」
そう言いながら、ぼくの腕にぎゅっと抱きついてきたのです。それ
は小さくてやわらかくて、心が暖まるぬくもりでした。
「そう、ぼくはおにいちゃん。そしてこれはピアノ。」
そう言いながら何度もピアノの言葉をくりかえしました。
照れくさくてぼくは椅子を立ち、その子を座らせました。そして
右の親指でドの音を鳴らさせてあげました。その手はとても小さく
て冷たかったけれど、そっとぼくの手からはなれると、たった今
ぼくが弾いた曲をゆっくり弾き始めたのです。そして一つも違わず
に弾き終えたのです。おどろいたぼくはたくさんの拍手をしました。
「ピアノひけるんだね!」
夢中で聞いたぼくに、首をかしげたその子は
「・・・おにいちゃん・・・」
と小さくつぶやきました。びっくりしました!前に来た時におかあ
さんが言った、たった一言をおぼえていたからです。
「おにいちゃん、おにいちゃん。」
そう言いながら、ぼくの腕にぎゅっと抱きついてきたのです。それ
は小さくてやわらかくて、心が暖まるぬくもりでした。
「そう、ぼくはおにいちゃん。そしてこれはピアノ。」
そう言いながら何度もピアノの言葉をくりかえしました。
『おにいちゃん』 4
Vol.4
女の子はうれしそうに笑いました。今日はおかあさんが留守なので
ぼくがジュースとお菓子を出しました。小さい手でだいじそうに
お菓子を少しずつたべました。名前ぐらい知りたいものだと思った
時でした。つけていたテレビで韓国語が流れたのです。その子は、
その言葉に笑いながら、ぼくにはわからない韓国語を話しました。
そこでその子が日本人でなかったことにやっと気がつきました。
だから言葉が通じなかったんだ!でも話ができることを、ぼくは
とてもうれしく感じました。言葉は通じないけれど耳は聞こえる!
これ以上この子を苦しめるものがないということが、何よりうれし
かったのです。
「おいで・・・」
ぼくはその子の手を引き、ピアノのそばにつれて行きました。
きっとピアノを聞きたくて来ていたのだから、近くで弾いてあげ
ようと思ったのです。ぼくが今練習中の曲を、つっかえながらも
弾くとうれしそうに、たくさんの拍手をしてくれました。
女の子はうれしそうに笑いました。今日はおかあさんが留守なので
ぼくがジュースとお菓子を出しました。小さい手でだいじそうに
お菓子を少しずつたべました。名前ぐらい知りたいものだと思った
時でした。つけていたテレビで韓国語が流れたのです。その子は、
その言葉に笑いながら、ぼくにはわからない韓国語を話しました。
そこでその子が日本人でなかったことにやっと気がつきました。
だから言葉が通じなかったんだ!でも話ができることを、ぼくは
とてもうれしく感じました。言葉は通じないけれど耳は聞こえる!
これ以上この子を苦しめるものがないということが、何よりうれし
かったのです。
「おいで・・・」
ぼくはその子の手を引き、ピアノのそばにつれて行きました。
きっとピアノを聞きたくて来ていたのだから、近くで弾いてあげ
ようと思ったのです。ぼくが今練習中の曲を、つっかえながらも
弾くとうれしそうに、たくさんの拍手をしてくれました。
『おにいちゃん』 2
Vol.2
「・・・き、きみはだれ? ううん、とにかく中へお入り!」
あまりに寒そうなその子にびっくりして、ぼくは家のなかに
入らせました。
「おかあさん、おかあさん早く来て。たいへんなんだ!」
「おにいちゃん!どうしたのそんな大きな声を出して!」
何事かと2階から下りてきたおかあさんは、その子を見て
おどろきました。
「まあ、たいへん。どこの子かわからないけど、こんなに
ぬれて冷たい手をして・・早くあたためてあげなくては。」
そう言うと、お湯をわかし体をふき手足をあたためて
あげました。それからあたたかいお茶を飲ませました。
二人で夢中でそこまでした時、初めてその子の目が見えない
ことに気づきました。
「おうちはどこ?どこからきたの?」
「・・・き、きみはだれ? ううん、とにかく中へお入り!」
あまりに寒そうなその子にびっくりして、ぼくは家のなかに
入らせました。
「おかあさん、おかあさん早く来て。たいへんなんだ!」
「おにいちゃん!どうしたのそんな大きな声を出して!」
何事かと2階から下りてきたおかあさんは、その子を見て
おどろきました。
「まあ、たいへん。どこの子かわからないけど、こんなに
ぬれて冷たい手をして・・早くあたためてあげなくては。」
そう言うと、お湯をわかし体をふき手足をあたためて
あげました。それからあたたかいお茶を飲ませました。
二人で夢中でそこまでした時、初めてその子の目が見えない
ことに気づきました。
「おうちはどこ?どこからきたの?」
『お兄ちゃん』 1
初めまして、長田智佐子です。さて、絵本「ナナ」の原作
『おにいちゃん』をこれからゆっくり書いてゆきたいと思います。
どうぞお付き合いください。
Vol.1
それは、ある冬の冷たい雨の日でした。
ぼくはいつものように、あたたかい部屋の中でピアノの練習を
していると、犬のナッツがしきりに外に出たがりました。
「ああ、おしっこだね!わかったわかった。今開けてあげるよ。」
そう言って玄関のドアを開けてやると、いつものように出ていき
ました。すぐに戻るとわかっていたのでぼくはまたピアノに戻りま
したが、今日はなかなかナッツが戻ってきません。へんだなあと思
い玄関の外に出てみると、なんとそこには小さい女の子が座って
いたのです。さらにナッツはその女の子の足の上に、体をのせて
いたのです。その子はこんな冷たい雨の中、サンダルに素足の冷た
い足ですわっていました。
『おにいちゃん』をこれからゆっくり書いてゆきたいと思います。
どうぞお付き合いください。
Vol.1
それは、ある冬の冷たい雨の日でした。
ぼくはいつものように、あたたかい部屋の中でピアノの練習を
していると、犬のナッツがしきりに外に出たがりました。
「ああ、おしっこだね!わかったわかった。今開けてあげるよ。」
そう言って玄関のドアを開けてやると、いつものように出ていき
ました。すぐに戻るとわかっていたのでぼくはまたピアノに戻りま
したが、今日はなかなかナッツが戻ってきません。へんだなあと思
い玄関の外に出てみると、なんとそこには小さい女の子が座って
いたのです。さらにナッツはその女の子の足の上に、体をのせて
いたのです。その子はこんな冷たい雨の中、サンダルに素足の冷た
い足ですわっていました。






